ガラスガエルは赤血球を肝臓にしまい込むことでより透明になる

葉にいるガラスガエル(glassfrog)二匹。透明なので葉の緑色と同化している。

今日のせいみ屋の入荷は”ガラスガエルの透明化の仕組み”

動物の透明化は手の込んだ偽装(camouflage)の一種で、睡眠などでじっとしているときにその居場所の色、たとえば葉っぱの緑などに溶け込むのに特に有効であり、からだ全体の光の散乱や吸収を減らす仕組みを必要とします。

脊椎動物の透明化は困難です。というのも巡る血にひしめく赤血球の蛋白質ヘモグロビンが光を吸収して(弱めて)血液を深紅に染めて体を色付けるからです。

南極海のアイスフィッシュ(icefish)やうなぎの稚魚がおよそ透明なのはヘモグロビンや赤血球を作らないためですが、その名の通り透明なガラス張りカエル(glassfrog、Hyalinobatrachium fleischmanni)は全く別の方法、肝臓に赤血球を隠すという方法で皮膚や筋肉を透明化して居場所の葉の緑に溶け込むと分かりました。

その研究ではガラス張りカエルの一種Hyalinobatrachium fleischmanniの赤血球が光音響映像(photoacoustic imaging)で追跡され、じっとしているときには赤血球の90%近く(89%)を肝臓に仕舞うことで透明度を2-3倍高めていることが示されました。

透け透けの組織(see-through tissue)とそれら組織から呼吸色素(respiratory pigment)をわざわざ取り除く仕組みを必要とする脊椎動物の透明化を今回の研究は示しました。

今回の発見は脊椎動物の透明化の理解を深めただけにとどまらず医学研究にも有益そうです。ガラス張りカエルが赤血球の配置、密度、滞留を凝固なしで操る仕組みは血液凝固などの研究を助けるでしょう。

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