ニワトリにヒントを得た鎮痛手段の可能性

ニワトリやその他の大半の鳥は唐辛子成分・カプサイシン(capsaicin)を食べても平気ですが哺乳類はそうではなく焼けるような痛みを被る羽目に陥ります。よってニワトリの餌にカプサイシンを添加してネズミやリスなどが来ないようにすることがあります。

鳥と哺乳類のその違いはカプサイシンを感知する受容体TRPV1の違いに由来します。

新たな研究でヒトのK710Nという変異がTRPV1を鳥のそれのようにしてカプサイシンへの反応を大幅に減らすと分かりました。

その変異をマウスのTRPV1に導入したところ体に毒な熱(noxious heat)を感じることや体温調節はそのままで痛みが減りました。

さらにはK710Nと同じ作用を担うペプチド薬・V1-calが作られ、マウスに注射したところカプサイシンへの反応が低下し、神経損傷に起因する慢性痛が和らぎました。V1-calを投与しても熱を感じることや体温調節はK710N変異導入と同様にいつも通りで大事はありませんでした。

ちなみに今回の研究でマウスはカプサイシンに触れるのも嫌がることが分かり、皮膚への接触でも痛みを引き起こしうると示唆されました。

Possible new way to reduce pain inspired by chickens

https://med.stanford.edu/news/all-news/2023/02/pain-medication-chickens.html

A human TRPV1 genetic variant within the channel gating domain regulates pain sensitivity in rodents. December 6, 2022

https://www.jci.org/articles/view/163735

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